新収蔵作品特別展示――淺井裕介《八百万の森へ》
新たにむかえた作品たち――生活・手仕事・身体
横浜美術館リニューアルオープン記念展「おかえり、ヨコハマ」とともに、3階展示室で開催するコレクション展では、ふたつのテーマに基づき、休館中に収蔵した作品を紹介します。
ひとつめは、横浜にゆかりのあるアーティスト、淺井裕介(あさい・ゆうすけ、1981年生まれ)による新作《八百万の森へ》です。この作品は、横浜信用金庫が創立100周年記念事業として、2023年に横浜市文化基金に寄附を行ったことをきっかけに収蔵されたものです。
淺井は、土や水、マスキングテープやペンなどの生活に身近な素材を使い、動物や植物、山川や草木に宿る精霊のような存在を描くアーティストです。また、日本および世界各地で採集した土を絵具にし、それを使って各地の人と協働制作をすることでも知られています。
本作では、横浜信用金庫の各支店・拠点やボランティアによって集められた横浜市内の土が使われており、作品制作も、横浜信用金庫の3つの支店(鶴ヶ峰支店、本店営業部、市場支店)および新高島駅にあるBankARTStationなど、横浜市内で行われました。サイズの異なる9枚のパネルを組み合わせることで生まれる、高さ約3メートルの大作をお楽しみください。
ふたつめは、1980年以降の現代アートです。横浜美術館は、19世紀から現在にいたる美術作品を収集しています。現代アートの収蔵にあたっては、すでにあるコレクションとの関係を考慮し、当館ならではの視点で「今という時代」を語ることのできる作品を集めています。
今回は、こうした観点から休館中に収蔵された、1980年代と2010年代の作品を中心に紹介します。1980年代、日本では好景気を背景に現代アートの多様化が進みました。この時代に登場したのが、身の回りの出来事や身体をテーマに制作をする女性アーティスト、手仕事的な創作や性差の問題に取り組む男性アーティストです。彼らが提起したジェンダーの問題や日常から世界を見つめる視点は、2010年代以降の現代アートにも引き継がれ、今に至っています。
本展を皮切りに、横浜美術館では、休館中に収蔵した作品に焦点をあて、さまざまな切り口からコレクションの魅力を紹介していきます。
会場
ギャラリー5、ギャラリー6
開館時間
10時~18時(入館は閉館の30分前まで)
休館日
木曜日(ただし3月20日[木・祝]は開館)、3月21日(金)
※最新情報・お問い合わせ・チケットのお求めは
https://yokohama.art.museum/exhibition/202502_welcome_back_yokohama/